ラドロー・フード・センター
LUDLOW FOOD CENTRE

ラドロー・フード・センターは、ラドローから北西に3キロ離れたブロムフィールド村にある大規模なファーム・ショップ。単に近隣で取れたものを売っているというだけではなく、チーズ、ジャム、パンなどを、その場で作って販売している。
この一帯を所有する貴族ウインザー子爵の所有地(オークリー・パーク・エステイト)で育てられた家畜の肉や乳製品の他、ラドローが位置するシュロップシャー、隣接するヘレフォードシャー、ウースターシャー、ポウイスの産物を主に扱っている。

広々とした店内は、天井から自然光を取り込むように設計されていて心地よい。写真で左の端に並んでいる、瓶詰めのジャム、プレザーブ、チャツネの類は、フード・センターのオリジナル・ブランド。実際にここで作られており、作業の様子をガラス壁越しに見ることも出来る。
大規模なファーム・ショップの多くは、スーパーで見かけるような商品も棚に並べているのが普通なので、これだけ「オリジナル」にこだわっている店は珍しい。また、買い物客用に籐製の買い物籠を用意したり、ビニールのショッピング・バッグに自然分解する素材を使うなど、自然環境にもしっかりと配慮している。

これはチーズ・カウンター。ほとんどが地元及び近隣の州産だが、イギリスの他の産地のものと外国産も置かれている。このフード・センターで作られた、オリジナルのチーズもある。
そして、私たちは、こちらのセンターで働いておられる日本女性の計らいで、特別に、センターのマネージング・ダイレクター(管理責任者)に中を案内して頂けることになった。

チーズに興味のある私たちの希望で、まず連れて行ってもらったチーズの保管室。チーズの加工をする部屋もあるようだが、私たちが行ったときには既に作業が終わっていた。
チーズ作りには温度・湿度管理が重要なため、チーズ室には、冷蔵庫のような扉がついているのだが、その扉を開けた途端、ものすごい臭いが鼻をついた。イギリスのチーズは、一般に、フランスのチーズと比べると臭いがきついものは少ないが、チーズ室ともなると、やはりかなり黴臭い。

上の写真、黄色っぽいのがまだ若いチーズで、周りについている白いものは植物脂肪。チーズの熟成には黴が必要なのだが、黴が中に入り込んでしまうとブルー・チーズのようになってしまうので、それを避けるために塗られる。(ブルー・チーズの場合には、わざと黴を植え付け、黴が育つようにチーズに穴を開ける。
そして熟成を続けると、右のようになる。黴臭いのも当然だ(笑)。
これらのチーズはまだ商品化されておらず、九ヶ月間熟成するのを待っている。チェダー・タイプのチーズだそうだが、まだ名前はついておらず、完成した時点で子爵に献上し、名前をつけてもらうのだそうだ。

これは肉の貯蔵室で、真ん中に写っている動物は、領地の中で撃たれた野生の鹿(ヴェニソン)。センターの肉コーナーで販売されている。
牛も吊り下げられていたが、これは最低三週間吊るした後、解体され、部位によってはさらに熟成させるのだそうだ。肉は、こうして放置しておくことで風味が増すとともに、リラックスして柔らかくなる。
この他、パン作りの部屋、デリのキッチン、倉庫なども見せてもらったが、どの部屋もとても清潔で、感心させられた。

こちらが、センターを案内して下さったサンディー・ボイドさん。私たちが訪れた時(三月)に旬だった、パープル・シュプラウト(カリフラワーに似た紫色の野菜)を持ってポーズしてもらった。とても気さくで優しそうな方なのだが、話や態度からセンターと食に対する情熱がひしひしと伝わってきた。
サンディーさんに限らず、センターの人たちはみな親切で、いろいろ知っているので、買い物をする時はいろいろ質問してみるといいと思う。
私たちをサンディーさんに引き合わせて下さった日本人従業員の方は、日本人を対象に、イギリスの食材や食文化を紹介する催しをセンターで開催することを企画しているとのこと。実現すると素晴らしいと思う。
ラドロー・フード・センターには、昼食、喫茶が楽しめるカフェもある。私たちは、隣にあるレストラン「ザ・クライヴ」で食事をしたため訪れる機会がなかったが、今度訪れた時には試してみたい。
Ludlow Food CentreBromfield, Ludlow, Shropshire SY8 2JR
Tel. 01584 856000
e-mail: greatfood@ludlowfoodcentre.co.uk
http://www.ludlowfoodcentre.co.uk/ (行き方・開店時間はこちらを参照)
おまけ
試食コーナーラドロー・フード・センターでは、国産小麦粉を使ったパンも焼いている。生のイーストを使い、自然発酵させたパンだ。大規模生産のパン工場では、既に全ての材料が混ざった「パン・ミックス」を使っているところが多いが、センターでは、ちゃんと配合してパンを作っているとはサンディーさんの弁。
そして、サンディーさんが特に自慢していたのが、天然酵母のパン。次の日のために準備してあるという発酵した生地を見せてもらった。私は、天然酵母の「サワー・ドウ」があまり好きではないのだが、そこまで言われると、味見しないわけには行かないので、一つ買ってきた。400グラムで£1.39。スーパーの安いパンと比べると二倍の価格だが、スーパーの高いパンとは同じような値段なので、かかっている手間や材料を考えれば特に高くはないと思う(日本のデパ地下高級パン屋と比べれば激安・・・)。

切ってみると、このように大きく気泡が入っている。そして、独特の酸っぱい臭いがする。しかし、味のほうはあまり酸っぱくなく、トーストし、バターとジャムを塗ったらほとんど感じられなくなった。モチモチして、味のある、美味しいパンだ。トーストしたものに、バターを塗り、それにスモーク・サーモンを乗せたのが特に美味しかった。
機会があったら、是非試して欲しい。

